会長挨拶

R6会長

平素より富山県病院薬剤師会の事業活動および事業運営に御理解と御協力を賜り厚く御礼申し上げます。令和62024)年度より富山県病院薬剤師会の会長を務めさせていただくことになりました。旧役員の先生方に感謝いたしますとともに、新役員・会員と一丸となって富山県病院薬剤師会を発展させ、県民の厚生福祉の向上に全力を尽くす所存です。 今後とも一層の御指導・御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

富山県病院薬剤師会は、昭和25年(1950年)8月に発足し、以来半世紀以上にわたり関係各位の懇篤なる御鞭撻の下、くすりの都・富山で、様々な歴史を刻んでまいりました。本会は令和5年(2023年)9月に、一般社団法人 富山県病院薬剤師会として新たな一歩を踏み出しました。

富山県では高齢化が進行し、国民の医療や介護の需要が増加することが見込まれます。平成 29年(2017年)に地域医療構想が策定され、病床機能をはじめとする医療機能の分化および連携の推進等の取組みを進め、良質かつ適切な医療提供体制の確保が求められています。今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大や地震や豪雨など自然災害の発災を受け、外来・入院・在宅にわたり医療機関等が連携し、適切な役割分担の下で医療提供を行う重要性も改めて認識されました。このように医療ニーズの質・量の変化に対応した医療提供体制を維持することが求められています。

私たち薬剤師に目を向けますと、過去22年間で、全国の薬剤師数は一貫して増加傾向であるのに対し、富山県においては横ばいから減少傾向にあり、新卒薬剤師の就業地の地域偏在が示唆されています。薬学教育協議会の調査によれば、6年制薬学部に在籍している富山県出身者は全国平均を大きく下回り、全国第46位にとどまっています。

いかに病院薬剤師の魅力を伝え、そして富山県で働きたいと思う薬剤師の数を増やしていくかが喫緊の課題となっています。

富山県病院薬剤師ではこれまで、中学生及び高校生が、薬剤師をはじめとする医薬品に関わる仕事に対する理解を深め、進路選択の参考とすることを目的とした「薬剤師のお仕事体験学習」の開催、「くすりの富山」の未来を支える薬剤師の重要な役割を紹介する「未来の薬剤師発掘セミナー」へ参画してまいりました。更に昨年度から県との協働事業として全国の薬学生を対象に、県内の病院機能の異なる3病院を3日で体験して頂く公的病院薬学生短期インターンシップ「3Daysインターンシップ@TOYAMA~わかる!病院薬剤師~」を開催しております。また、富山県で働くことに興味がある薬学生・薬剤師向けに、公的病院等における薬剤師キャリアの紹介や、採用関連情報を提供する「薬剤師キャリアポータルサイト」の制作や病院薬剤師のキャリアイメージをPRする動画やパンフレットを制作するなど、富山県薬事指導課とも密に連携を取りながら,未来の薬剤師確保に努めています。

富山大学薬学部において、薬学部としては全国初となる地域枠制度を設けて頂きました。人が育てば、医療現場も育っていきます。本会では、この制度を実りあるものとするために、富山大学や富山県と密接な関係性を構築するとともに、実務実習や医療薬学教育へ貢献して行きたいと思っています。学生が地域にそして薬剤師という職業に何を期待しているのかなど、学生視点も取り入れ、学生自身が深く考え能動的に学修に参加する講義や実務実習の整備を行うとともに、人材発掘・育成の観点から、中高生に対し薬剤師の魅力や可能性を存分に伝え、憧れを持って薬学部に進学する学生を増やす継続的な取り組みを行ってまいります。

また、県内の病院薬剤師の皆さんが夢を持って働ける職場の環境整備も重要な課題です。病院薬剤師の処遇改善とともに、県内病院において立ち後れ気味な医療DXを強力に推進し、医療現場の業務効率化や負担軽減、情報共有など、より合理的かつ充実した医療サービスを提供できるよう、富山県病院薬剤師全体としてこれら問題に取り組みたいと思います。

医療技術の高度化、在宅医療の進展等に伴う医薬品の安全使用といった社会的要請に応える医療の担い手として、質の高い薬剤師が求められています。また、チーム医療において薬剤師が主体的に薬物療法に参加することが期待されており、入院患者への服薬指導、在宅医療への参画が求められるなど業務、役割が多様化しています。備えておくべき能力や素養に対し、私たち病院薬剤師が深く考え能動的に学修に参加することが大切です。当会では新たに新設された専門・認定支援研修委員会が中心となり、経験年数や各施設の機能、あるいは希望する資格取得に合わせた講習会を準備し自己研鑽を通じて専門性の向上や個々の能力を着実に向上できるよう多様な学習機会を提供してまいります

10年、15年先の富山県の地域医療のあるべき姿を見据え、富山県病院薬剤師会として、あるいは病院薬剤師として更にどの様なビジョンを描いているのか、自分たちの成長戦略を県民や会員の皆様、連携する職能団体の皆様方に伝えて行きたいと思います。

富山県の病院で頑張りたい、勤めて良かったと思える病院薬剤師の明るい未来を感じていただけるよう会長として精一杯努めます。皆様のご参加とご協力をお願い申し上げます。

富山県病院薬剤師会 会長          

富山大学病院薬剤部 教授・薬剤部長 加藤 敦